歯周病とからだの病気②
こんにちは、福岡市中央区天神・ 警固の帆鷲デンタルクリニックです。
前回より、歯周病の関与が疑われる主なからだの病気
①動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞
②糖尿病
③誤嚥性肺炎
④早産、低体重児出産
について投稿していますが、今回は②歯周病による糖尿病悪化のメカニズムについてご説明します。
歯周病の炎症が糖尿病を悪化させる?!
片方が悪化すれば、もう片方も悪化する。
切っても切れない歯周病と糖尿病を結びつけるキーワードは「炎症」です。
糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなり、血糖の濃度(血糖値)が慢性的に高いままになってしまう病気です。
インスリンは、骨格筋、脂肪細胞、肝細胞への糖の取り込みを促し、血糖を下げる働きをするほぼ唯一のホルモンです。
糖が細胞に取り込まれず、血糖値の高い状態が何年も続くと、血管が弱って、心臓病や失明、脚の壊死や切断など、深刻な合併症につながりかねません(糖尿病だと歯周病が重症化しやすいため、歯周病も糖尿病の合併症とも言えます)
インスリンの働きが悪くなる理由は、①すい臓の機能が低下し、十分な量のインスリンが分泌されなくなる、②インスリンは十分な量が分泌されているが、インスリンの糖の取り込みを促す力が弱くなる、の2つです。
歯周病の場合、歯周病菌の出す毒素により歯周ポケットの中で炎症が起きています。
炎症部分には、からだの反応により「炎症性物質」が集まります。
進行した歯周病だと、それが歯ぐきから体内に持続的に供給されるせいで、糖をからだの細胞に取り込むインスリンの働きが弱められます。
このため、血糖値が高いままになり、糖尿病が進行しやすくなると考えられています。
歯周病が悪化 → 炎症が拡大 → 炎症物質が体内へ → インスリンの働きを阻害 → 糖尿病悪化
というように歯周病菌の存在がドミノ倒し式に普及しているといえます。
おまけに、糖尿病が悪化するとさらに歯周病が悪化するので、放置すると負のスパイラルに陥ってしまいます。
糖尿病については、歯周病が悪化の一因になるだけでなく、歯周病が改善すると糖尿病が改善することもわかっています。
治療により歯ぐきの炎症が治まると、炎症性物質も生じなくなります。
すると、インスリンへの影響もなくなり、インスリンが働いて血糖を下げられるようになる結果、糖尿病も改善するというわけです。
実際、複数の研究を総合して分析した結果、歯周病の治療前後で糖尿病の評価基準のひとつであるヘモグロビンA1c値にも変化がみられた、と報告されています。
★歯周病治療で糖尿病も改善★健康なからだ作りの一助となれますように☆彡☆彡☆彡