男性よりも女性のほうが歯周病が進みやすいワケとは?
成人の8割がかかっていると言われる歯周病。テレビCMでも盛んに歯周病予防と言っているのでよく耳にされるかと思います。
歯周病とはどういった病気で進行するとどうなるのか。
またどうして女性のほうがかかりやすいのかを解説します。
■ 歯周病とは骨の病気?!
歯周病になると初期症状として歯肉炎を発症しますので、歯肉(歯ぐき)の病気と思われがちですが、実は歯周病とは歯の周りの骨の病気なのです。
重度の歯周病になると、歯を支える骨を溶かしていき、歯ぐきから膿がでて、最悪歯が自然と抜け落ちます。
歯周病は痛みなどの自覚症状ほとんどないため、サイレント・ディシーズ(静かな病気)と呼ばれています。気づいた頃にはかなり進んでいるケースが多いです。
そしてさらに怖いことに、歯周病は一度かかってしまうと、一生完全には治らない慢性病なのです。
■ 歯周病の原因
歯周病の直接的な原因は歯垢(プラーク)です。歯垢は生きた細菌の塊で、歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)にひそんでいます。
この歯垢(プラーク)中の細菌が出す毒素によって、歯ぐきに炎症が起きてしまいます。
歯垢(プラーク)は約2~3日で石灰化し、歯石となります。歯石は名前の通り、石のように固く、歯みがきだけではとれなくなります。そうなると歯ぐきの炎症が現れだします。
歯石は歯医者に行って取ってもらうしか方法がありません。
■ 歯周病の進行と症状
■ 女性のほうが歯周病が進みやすい理由
最近の研究では、歯周病が悪化する原因として、女性ホルモンの分泌量との関係が大きいことがわかってきています。
歯周病菌には、女性ホルモンを特に好んで繁殖する種類があり、女性ホルモンは歯ぐきと歯の間から少しずつ染み出しています。
月経の前がいちばん女性ホルモンが変動するので、歯ぐきがムズムズしたり、はれたりする経験があるかとおもいます。これは女性ホルモンの増加によって、毛細血管が影響されることと、炎症反応が過度になるからです。
■ 妊娠期の歯周病は赤ちゃんに影響する!?
女性ホルモンは妊娠終期には月経期の10倍〜30倍になると言われています。そのため、妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなります。
妊娠中に歯周病になると、早産で低体重児が生まれるリスクは 7 倍に上がるというデータがあります。タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字です。
出典:NPO法人日本臨床歯周病学会
また産後も育児に手がかかり、自分の歯磨きをおろそかになりがちになり、出産を期に歯周病になってしまうケースが多いので注意が必要です。
虫歯や歯周病の治療は妊娠する前にすませておき、歯と歯肉・舌の上などを清潔に保ちましょう。治療については体調が安定する妊娠中期がおすすめです。
■ 女性は更年期も注意!
更年期を迎えると、今度は逆に女性ホルモンが減少していき、また骨密度が低くなり、歯を支えているあごの骨が弱くなります。さらに加齢により、歯ぐきがやせてしまうことや、口が渇きやすくなったりすることも歯周病が進行する原因になります。
■ 当院での歯周病治療について
1.歯周病検査
歯周病がどこまで進行しているのか、しっかりとした検査・診断と説明をおこないます。現状について知っていただいた上で、進行しないようにあなたに合った歯周病予防をアドバイスいたします。
2.TBI指導
TBI(トゥース・ブラッシング・インストラクション)という歯みがき指導を行います。日頃からのセルフケアが歯周病予防では重要となります。歯の磨き方や、歯ブラシ、ハミガキ粉などあなたに合ったものを当院の歯科衛生士が丁寧にお伝えいたします。
3.歯石取り
毎日、きちんと歯みがきをしていても、歯と歯の間だったり、歯の裏や歯の根元(歯周ポケット)だったり 、完璧に歯垢を落とすというのは至難の技です。そして、歯垢の塊が石化した歯石になると歯みがきで落とすことはできません。
そこで、定期的に歯科医院で歯石取りなどのプロフェッショナルケアを受けることをおすすめしています。当院では歯周病予防について経験豊富な歯科衛生士が対応いたします。
■ まとめ
歯周病はそのまま放っておくと、どんどん進行していく病気で、治ることがありません。特に女性は月経や妊娠、更年期など、女性ホルモンのバランスが一生のうちで大きく変わる時期があるため、歯周病に掛かりやすくまた進行がしやすくなります。
重症化すれば、抜歯するしかなく、若くして総入れ歯、、、なんてことにも。。
今からきちんとケアをしていれば20年後、30年後に歯のことであれこれ悩まなくてよくなります。
自分の歯でいつまでも食べたり、会話したり、笑ったりしていたいですよね。
当院ではあなたの歯が生涯に渡って残るよう、丁寧にサポートをしてまいります。